7 膝関節 セルフ・メディケーション

膝周囲筋の拘縮・癒着は歩行時に悪影響を及ぼすのみではなく、足部や腰部にも影響を及ぼします。

腸脛靭帯や大腿四頭筋、ハムストリングスは膝のみならず股関節にも関わり、歩行に関して重要な役割を担います。

初期であれば、自己ストレッチで対応可能ですが、癒着範囲が広がることで治療にはリリース注射などが必要になります。

普段から柔軟性を高め、正しい使い方を覚えていきましょう。

動きの硬さの程度に合わせ、徐々に自宅でもリハビリを行い、Lev.1から開始し、徐々にレベルアップを進めてましょう。。

※担当のリハビリスタッフの指導のものに行ってください。

7-1  膝蓋上嚢マッサージ

【適応】

膝のお皿(膝蓋骨)周囲が硬い

膝をギプス固定をしていた

変形性膝関節症

 

【目的】

人体で最も強い大腿四頭筋の力を効率よく使うため、お皿の(膝蓋骨)が重要な役割を担っています。お皿の動きが制限される事により、膝を曲げる動きが顕著に制限され、突然膝に痛みが生じることをよくみられます。

お皿周囲の組織をストレッチにより、膝がスムースに動き、階段昇降やしゃがみ込みのしやすさの改善が期待出来ます。


Lev.1

お皿の上の皮膚を上下に2.3cm動かす

※強く掴み過ぎないように

Lev.2

お皿の上の皮膚を左右に2.3cm動かす

※強く掴み過ぎないように

Lev.3

お皿上を掴みながらに曲げ伸ばしをする

※曲げる角度を徐々に増やす

 

 


7-2 膝蓋下脂肪体 マッサージ

お皿(膝蓋骨)には膝蓋下脂肪体という脂肪組織が有り、膝蓋筋腱という人体で最も太い腱を保護しています。膝の曲げ伸ばしにつれて形を変え、緩衝作用や滑動性の補填を行っています。

膝蓋か脂肪体の動きが悪くなることでスムースに動けなくなり、膝の動き(特に伸ばす際)い制限や痛みを生じます。また、この部位には痛みを感知する物質(自由神経終末)が多く集結していることから、膝の痛みを生じやすい部位ともいえます。


Lev.1

膝をまっすぐ伸ばした位置で力を抜いて

お皿下を揉む

※膝の中を圧迫するイメージ

Lev.2

膝を45度曲げた位置で

力を抜いてお皿下を揉む。

※膝の中を圧迫するイメージ


7-3 大腿後面(ハムストリングス)ストレッチ

 大腿後面には、ハムストリングス呼ばれる筋があります。

ハムストリングスは骨盤の姿勢に関わっており、硬くなることで腰痛・膝痛の原因となります。座位が多い方は特に硬くなりやすいので、取り組んでください。

※6-1 股関節 ハムストリングスストレッチと同じになります。


7-4 大腿四頭筋ストレッチ


 

大腿四頭筋の伸張性は膝蓋骨を介した膝の屈伸の中心的な役割を担っています。筋力が十分に保たれていても、柔軟性がないことで膝痛や腰痛が生じます。

また、膝のみではなく、骨盤を介した腰椎の姿勢にも影響を及ぼし下肢の痙攣(脚のつり)を生じます。

トレーニングの前に、十分な柔軟性を作りましょう。


Lev.1

タオルを足首に巻き横向きの姿勢で

踵とお尻を近づけます。

※右膝をなるべく後ろに引いた位置で

Lev.2

膝が伸びてきたら、タオルを使わずに

直接手で足首を持ち踵とお尻を近づけます。

※右腿前に軽く張り感を感じながら行います。

Lev.3

Lev.2の位置から、対側の膝を胸にちかづけ

上半身を丸めます。

足首を持つ位置は徐々に足先より足首に持ち替えます。


<注意点>

脚を外側に広げない

腰をそらさないように

首も体も丸めます。


7-5 大腿四頭筋 筋力強化

太ももの前面にある人体の中では最も大きな筋の一つになります。

特に歩行やランニングには欠かせない筋肉であり、膝痛の予防効果も認められています。


7-6 下肢挙上(SLR) 筋力強化

大腿四頭筋の他に、股関節周囲の腸腰筋・下腿の前脛骨筋も同時に鍛える方法です。大腿四頭筋のトレーニングとは違い、下肢前面を全体的に強化する目的があります。

また、下肢背面の相反抑制を用いたストレッチ効果も期待できます。


7-7 レッグカール

太ももの後ろにある「ハムストリングス」を鍛える運動になります。

ハムストリングスは股関節を保持するためにも、重要な筋であり、日常生活~スポーツまで幅広く必要になります。


7-8 スクワット

脚の主な筋力を全体的に鍛える効率的な方法です。

バランスもとりやすく、筋力に応じ段階を分けれるので、運動に自信の無い方にも適しています。

手順を誤ると、身体を傷めることもありますので正しい指導の下に行いましょう。


7-9 ランジ

スクワットと同様に、下半身の筋力を強化することに適しています。

CPY®のランジよりも負担を軽減しており、比較的行いやすい方法を紹介しています。

特に左右へのバランスが必要ですので、体を使いこなす(モーターコントロール)ことを身につけましょう。

 

ランジ Lev.1~3


ポイント!

ランジ Lev.1

足幅は肩幅に開いてください。

次に前後に足を開いた状態から、体幹を垂直に下ろします。

ランジ Lev.2

後ろ足を10cmほど後方に引いて、脚を広げ、ランジを行います。

※腰が反らないように注意!

ランジ Lev.3

足幅を狭め、体の中心に並べ、ランジを行います。

ランジ Lev.3 軽減法

ランジ Lev.3に慣れるまではこちらで身体を鳴らしましょう。